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不思議体験

礎吽亭雁鵜さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

地下鉄の下り階段
長編 2026/08/13 16:54 2,833view
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無意識的に折り返す回数を数えてしまう。
1回、2回、3回・・・そろそろホームかなと思いつつ歩を急いだ。

4回、5回、6回・・・
やめてくれ。さっきまでのはただの夢だろう。
いつまでもホームに辿り着けない。それどころか夢と同じように、いやそれ以上の速さで暗くなっていく。
冷や汗がツーっと背中をつたういやな感覚。

10回目の折り返しでとうとう下の方はよく見えなくなった。心が恐怖で満たされる。
何が起こっている?夢が現実化した?わけがわからない。
自然と足が止まり、その場に腰砕けてへたり込む。
まるで何時間も彷徨い歩き続けたかのように足が痛い。

やや迷いながらも革靴を脱ぎ足裏を揉む。
ああ少し楽になった。少し休んだらまた登ろう。
踊り場で脚を前に投げ出し、目を閉じて小休止を取る。

目が覚める、ベンチの上で。
愕然とする。
時間は19時。

どこからどこまでが夢?全部夢?
今自分は起きているのか?これも夢なのか?
何も信じられないが視線は目の前の下り階段に吸い込まれる。

もう一度降りるか?

いや、もうあそこには行きたくない。

身体中が酷く痛むがなんとかしてベンチから立ち上がる。

改札に向かい駅員に間違って入場してしまったと伝え交通系カードを処理してもらい改札を出た。

外に出たらタクシーを拾うかと考えながら地上に出る階段を登る。
もう夜だというのに地下から見上げる地上は妙に明るかった。
最後の一段を上ったとき外の明るさに目が眩み咄嗟に目を閉じる。

ゆっくりと目を開ける。明るいベッドの上で。
周囲を見回しここが病院であることを理解した。
身体中が痛いし、色々なものがつながっているようでどうにも動けない。
痛みを我慢してナースコール的なものを手探りで引き寄せ鳴らした。
看護師さん、遅れて医者がやってきて検査や質問をされた後に自分に何が起こったかを教えてもらえた。

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