「言っとくけど、できるけどやらなかっただけなんだから――ほら」
里美も右手で顔を撫でると、顔のパーツが消えていた。
俺が目を覚ますと、ふたりは笑いあっていた。
どうやら、俺が気を失っている間に仲直りしたらしい。
「あのさ、お前らの顔が消えた気がしたんだけど……」
しかし、ふたりの顔には目も鼻も口もあった。
「お前、子供の時もそれ言ってたよな。 ほら、よく見ろよ、顔はちゃんとあるだろ?」
勇吾が笑っていた。
言われてみれば、子供の頃に『いないいないばあ』をした勇吾の顔が消えていたことがあった気がする――有耶無耶になったけど。
今、問いただしても『顔はある』の一点張りだろう。
「飲みすぎたんじゃない? 人間の顔が消えるわけないでしょ」
里美も笑っていた。
そうだよな、人間の顔は消えないよな――人間の顔は。
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