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不思議体験

淡酸水さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

ボイスメッセージ
長編 2026/08/02 22:41 244view

女の人の声が、今までで一番はっきり聞こえたんです。

『……みぎ』

『……あと、いっぽ』

『……がけ』

『…………ちがう』

その一言だけが、妙にはっきり耳に残りました。

違う?

何が違うんだ?

翌日の土曜日、僕はその展望台へ向かいました。

事故なんて滅多に起きる場所じゃない。

きっと何か勘違いしているだけだ。

そう自分に言い聞かせながら。

展望台には誰もいませんでした。

昼間なのに、不思議なくらい静かでした。

プロフィール画像と同じ場所まで歩き、柵の前に立ちました。

そこから景色を見ようと一歩踏み出しかけた、その瞬間。

頭の中で、あの声が蘇りました。
 
『……みぎ』
 

反射的に右へ体をずらした、その直後。

僕が立っていた場所の足元が、ガラッと音を立てて崩れました。

小さな石と土が、崖の下へ吸い込まれていきます。

もしあのまま前へ出ていたら。

僕も落ちていたと思います。

その場に座り込み、しばらく動けませんでした。

帰宅してから、もう一度事故の記事を読み返しました。

その中に、以前は気付かなかった一文がありました。

『現場の柵は事故後、安全対策のため右へ約1メートル移設された。』

背筋が凍りました。

6/7
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