長男・山田浩一。
三人家族。
死亡の記録は消えていた。
長女・美咲という名前も、最初から存在しなかったように消えていた。
私は由美さんの家へ走った。
玄関には白い花が供えられていた。
写真立てが一つ。
幼い女の子の写真。
裏には母親の字で書かれていた。
「美咲へ。忘れてしまってごめんね。」
そのとき、由美さんが私を見て微笑んだ。
「あなた、誰を探しているの?」
私は答えられなかった。
戸籍にも、学校にも、近所の記憶にも。
山田美咲という人間は、もうどこにも存在していなかったから。
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