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呪い・祟り

Tochikaさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

つり目
短編 2026/05/15 08:00 227view

いつの頃からか、俺は特定の国の人を見かけると指で目をつり上げてた。
周りからは日本人の恥とか、差別はやめろとか言われてたけど、これは挨拶みたいなもんだ。
なぜかトラブルになることもあったけど、わけがわからなかった。

俺はある日、地方の小さな神社に行った。
参道の真ん中を歩いてたら外国人がいて、会釈してきたから、つり目にして挨拶してやった。
そしたら、何かに体を殴られた気がして――次に気づいた時は病院だったんだよ。

通報してくれた人が言うには、俺は急に後ろに跳んで頭から地面に落ちたらしい。
医者は頭に怪我はあるけど、それ以外は異常なしって言ってた。

友人には『つり目を見てお稲荷さんが怒ったんじゃね?』みたいな適当なことを言われた。

翌日にあの神社に行くことにした。

友人が『お稲荷さんは怒らせると怖い』なんて脅してくるから、一応な。
お供え物として、コンビニでいなり寿司を買った。
気のせいだと思うけど、鳥居をくぐる時に足が重かったし、狛狐と目が合って睨まれた。
耳元で唸り声がずっと聞こえてたし、犬みたいな足音がいくつもついてきた。

こうなると、友人の言葉が正しいような気がしてきて、参拝じゃなくて説明するしかないと思った。

参道の真ん中を真っ直ぐ最短で歩いて本殿前の賽銭箱にたどり着いた。
お供えしようといなり寿司の蓋を開けたけど、置く場所が見当たらなかった。
仕方なく賽銭箱の端っこに置いたら、少し静かになった気がした。
そして、太い縄を持って勢いよく鈴を鳴らした。

それからちゃんと説明した。

狐のつり目は人間のものとは全然違う、獣なのに頭が良さそうに見えるって。
その違いもやって見せた。

いなり寿司は供え終わったし、勿体ないから食べた。

そしたらまた唸り声が聞こえてきた。
取り囲むような足音と、目の前に顔があるような息遣いも。
体のあちこちを噛まれる感覚もあった。

怖くて味なんか全然わからなかったし、ものすごい寒気がして全身が鳥肌になった。

でさ、ちゃんと説明したのに、それからもたびたび意識を失うことがあった。
その頃からなんだけど、人との会話に唸り声が混じるようになったんだ。

お稲荷様は許してくれるどころか、もっと怒ったのかもしれない。
今も常に耳元で獣の息遣いが聞こえる。
今朝なんか、腕に歯型がついてて出血してた。

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