環「あ〜……チョット記憶にゴザイマセン」
私「はぁ、そろそろ行くよ」
取材はファミレスで聞くことになっていた。指定されたファミレスの入り口付近で待っていると、ネットで見た顔の男が近づいてきた。
私「川木哲也さんですね?◯◯に勤めている記者の田中です。」
環「同じく◯◯に勤めている同期の根口です。今回は宜しくお願いします。」
川木哲也「あ、どうも。怪談師の川木哲也です。今回はよろしく。」
三人でファミレス内の席に座り、私はこっそりポケットの中にあるレコーダーのスイッチを押す。
私「それでは早速なのですが、川木さんが怪談師になった理由ってありますか?」
川木哲也「私が怪談師になろうと思ったのはですね、姪がきっかけなんです。」
私「姪…ですか?」
私はメモを取ってからちらっと環と顔を見合わせる。
川木哲也「ええ。あれは姪が小学一年生の頃ですかね。その日は夏の夜、姪が『怖い話聞かせて!』って言ってきまして、私は知り合いのYさんって人から聞いたマネキン人形の話を聞かせたんです。するとね、姪は『おじさんの話、すっごく怖くて面白い!』って喜んでくれました。それから、私の話で色んな方が怖がったり喜んだりしてくれるのが楽しくなったんです。」
私「確かマネキン人形の話って、『怪闇小噺 人形』に載ってた話ですよね。」
川木哲也「ああ、読んでくれたんですか!ありがとうございます。」
環「そういえば、『怪闇小噺 人形』に書かれている『メリーからの電話』について聞きたい事がありまして。」
川木哲也「はい、なんでしょう?」
環はたった今思い出したかの様な演技をしながら質問した。
環「あの話に出てくるEちゃん、いや絵菜ちゃんって、川木さんの姪ですよね」
川木哲也「…」
続けて環は川木を問いただす。
環「そもそもあの人形、川木さんがあげた物なんじゃないですか?」
川木哲也「……ちょっと外で話しましょう。」
ファミレスを出て近くの人の居ない公園へ入った。
川木哲也「……絵菜ちゃんは、確かに私の姪です。そして、あの人形も私があげた物です。」
やはりそうだった。
環「あの一家に何があったんですか!」
川木哲也「……本当に悪い事をしたと思っているよ」
ぽつりぽつりと川木哲也は話しだした。
川木哲也「私は人形を集めるのが好きでね、家に沢山あったんだ。それで、絵菜ちゃんが産まれた時、赤いドレスを着た可愛らしいフランス人形をあげたんです。それから絵菜ちゃんはその人形に『メリー』と名付け、毎日遊んでくれた。……全てはそこからだった。私の弟や奥さんはその人形を気味悪がった。ある時から、弟夫婦は絵菜ちゃんに『人形を捨てろ』と言い始めたんだ。けれど絵菜ちゃんはメリーが大事だったから出来なかった。すると、弟は絵菜ちゃんを殴る様になったんだ。私は弟を必死に止めた。けれど弟は誰にも見られない様にして何度も絵菜ちゃんを殴った。そんなある日、絵菜ちゃんから私に電話が掛かってきたんだ。それは本に書いた『メリーからの電話』の内容だった。」
私「人形が少しずつ近づいてくる…」

























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