音が遠い。
体が、重い。
隣の人が何か言っている。
口は動いているのに、声が届かない。
手を伸ばす。
触れなければいけない。
今、この瞬間を逃したら――
二度と――
「――回収を開始します」
⸻
目を開けると、白い天井だった。
機械の音。
冷たい空気。
体が、動かない。
ゆっくりと視線を落とす。
しわだらけの手があった。
「意識の回復を確認しました」
落ち着いた声。
振り向くと、スーツ姿の男が立っていた。
白衣ではない。
どこか秘書のような、整った雰囲気の男だ。
一歩、こちらに近づき、
淡々と告げる。
「契約通り、蘇生されました」
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 2票

























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。