回収
結婚式は、小さな教会で行われた。
豪華ではない。
花も少ないし、料理も質素だ。
それでもよかった。
隣にいる人が、ずっと笑っているからだ。
「大丈夫?」
小さな声でそう聞かれて、私は頷いた。
緊張しているのか、それとも――
うまく言葉にできない。
ただ、ここにいることが、少し不思議だった。
苦しいことの方が多い人生だったはずなのに。
金もない。
余裕もない。
それでも、
「幸せだな」
気づけば、そう口にしていた。
隣の人が、少しだけ驚いて、
それから照れたように笑った。
その顔を見て、
――離したくない
と、強く思った。
「それでは、新郎新婦――」
司会の声が響く。
拍手。
視線。
すべてが、ゆっくり流れていく。
その時だった。
ふっと、視界が揺れた。
(……あれ)
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