奇々怪々 お知らせ

不思議体験

筋首さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

夜の道路のページ
短編 2026/04/13 20:08 114view

出てきたのは、女の子だった。
スカートの色も、髪型も、絵日記に描かれていた子と同じ。こちらを見て、何か言おうとしているのに、声が出ていない。唇だけが震えていた。
逃げようとした瞬間、運転席の男に腕をつかまれ、そのまま車内へ引きずり込まれた。
クラウンは音もなく走り去った。

***

気がつくと、布団の中にいた。
夢だったのだと理解したが、胸のざわつきは消えなかった。ふと、昔のことを思い出す。

大人しくて、いつも一人でいる子は危ないんだ――

誰かがそう言っていた。夢の女の子の顔が、小学生の頃に配られた捜索願いの写真と重なった。
失踪した時の服装。スカートの色。通っていた塾の場所。全部、絵日記と一致していた。

「なんで今さら……」

15年も前の話だ。実家を出て、今は別の集合住宅に住んでいる。前の住人の忘れ物だとしても、説明がつかない。まだ夢の中にいるような感覚のまま、枕元を見ると、絵日記が置かれていた。

震える手でページをめくる。

家の中の絵が描かれていた。
備え付けのタンス。部屋の真ん中にある邪魔な柱。窓の位置。見渡してみたが、やはり僕の部屋と一致した。
身震いがする。

窓が開いていたが、僕は開けた覚えがない。

あの夜の道路のページを開いた。
ページの隅に、細い筆跡でこう書かれていた。

「ずっと見てたよ」

その文字だけが、紙の上に浮いているように見えた。
部屋の空気がひどく静かになった。
まるで誰かが息を潜めて、僕の反応を待っているようだった。

振り返ることはできなかった。

2/2
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。