その調査に、遠隔監視としてマザー・エレノアも参加していた。マザーはマドゥロの後ろになにか恐ろしい影を感じていたものの・・・当時のアメリカはシリア内戦でイスラム国と戦い、アフガニスタンにも派兵して主力を中東に向けていたため、南米の貧しい反米国家にかまっている余裕はなく、継続調査となって数年間放置された経緯がある。
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朽屋はさらに聞く。
「衛星からの画像解析とかは?」
「現在解析中だが、時間の問題だ」
「ふ~ん・・・ありがとミゲルさん。あぁ果物あるから持ってってよ」
「サンキュー、シスター」
「それにしてもミゲルさん・・・農民姿が似合いすぎてない??」
「わはは。オレの実家はコーヒー農園だからな。じゃあ、またな!」
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家に帰ったテオ少年は、母親代わりに妹や弟に食事を作っていた。
キャッサバから作る薄焼きパンに、野菜や骨付き肉が少し入ったサンコーチョというスープだ。今日はシスター・ルコからもらった10ドルがあったので、帰りがけの屋台で買ったおやつのチュロスも3本ある。あとで仲良く3人で食べるつもりだ。
両親はカラカス市内のワイナリー・ワイン農園に駆り出されており、刈り入れ時には家に帰ってこれない時も多かった。親戚がたまに顔を出してくれることもあったが、テオら子供たちだけで留守番をする時も多かった。
「そうだ・・・今度エル・アビラ山の奥の方にも入ってみよう。そこならまだ荒らされていないから、珍しい花とかいっぱいあるはずだ」
テオはシスター・ルコが喜んでくれる顔を思い出しながら、そんな計画を考えていた。
翌日・・・エル・アビラ山に向かったテオは、その日、家に帰ってくることはなかった。
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ニコラス・マドゥロは悪夢にうなされながら、ミラフローレス宮殿の寝室で眠っていた。
夢の中に魔人が現れ、自らを地下世界の神『アマル』と名乗った。
コウモリのような翼の生えた巨大なヘビの姿をしており、狂気に満ちた瞳で見下ろしてくる。
アマルは地獄の底に響き渡るような恐ろしい声でマドゥロに語りかける。
「恐れることはない。お前の事は私が必ず守ってみせよう。どんな石弓も、どんな投石も、槍もナイフも、すべて消し去ってくれよう。・・・その代わり、生贄を捧げよ。わが神前に、血の滴る、まだ鼓動する新鮮な子供の心臓を捧げるのだ!!」
「うわぁあぁぁぁ!!」
冷や汗でぐっしょりとなりながら、マドゥロは飛び起きた。
いつもの悪夢だ。アマルと名乗る神が自分を護るかわりに生贄の子供を差し出せと要求してくる夢だ。これまでにも何度も何度も同じ夢を見てきた。
「なにかありましたか!!」キューバ人の警護隊がマドゥロの悲鳴を聞いて内線電話を入れる。
「な、なんでもない・・・悪夢にうなされただけだ・・・。水を、水をくれ・・・」

























Manaです。自分で書いてて一番楽しい、朽屋瑠子シリーズ。今回は今年初めに大事件の起こったベネズエラを舞台に、朽屋の活躍を描いたものなります。少年と絡むことで、オネショタ好きな界隈には受けたかもしれないですね。途中から登場のミゲル隊長は自分の中ではランバ・ラルのイメージです。
ところで、自分的に一番ショックだったのが、これを書いてる最中にアメリカがイランを攻撃しちやって大変なことに・・・せっかく最新の戦場を描こうとしたのに、もう古くなってしまいました。
現実の方が物語より早いし、そんなシナリオ描けません。
まさかトランプさん、エプスタインとかから目をそらしたくてこんなことしてんじゃないでしょうね~なんて思ったり。
一応物語はフィクションということで、お楽しみいただければと思います。
・・・それでは、チャオ。