心配そうな目が俺を覗き込む。大丈夫ですと、返すが勿論、大丈夫ではない。
その目が怖い。二つ並んだ眼球がじろりと俺を見ている。
そもそも、この人――誰だ。
何処で知り合ったかも分からないし、何なら名前まで知らない。俺の上司の『高山さん』を知っている風であったが、同じ会社の人間ではない。
それでも俺は既に何十回とこの人と会っている。
いや。
それは最早、恐ろしくもなんともない。出会った場所が不明とか、名前すら知らないのに複数回会っているなど些末な事である。
何より恐ろしいのは。
この人自身だ。
「木村君」
木村――というのは俺の名である。この人に名を呼ばれると全身が総毛立つ。
「今度、海にでも行かないかい」
嗚呼。
い、厭だ。
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