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心霊

霙さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

抱き返すもの
短編 2026/02/15 07:38 204view

それから十年後。

進学を機に実家を出ることになり、荷物を整理していた時です。

クローゼットの奥から、大きな袋が出てきました。
口はガムテープでがっちり留められている。

何が入っているのか思い出せなくて、袋越しに触ってみました。

軽い。
柔らかい。

古い服でも入っているのかな、と思いました。

処分しようと思って鋏を探すはずだったのに。

──本当に無意識でした。

私はその袋を、ぎゅっと抱きしめていました。

理由はわかりません。

ビニール越しに柔らかい感触が腕に収まって。

なぜだか、しっくりきてしまって。

懐かしい、と思ったその瞬間。

袋の中が、もぞりと動きました。

まるで、抱き返すみたいに。

悲鳴を上げて放り投げました。

袋は動きませんでした。

でも自分では触れなくて、母に中身を確かめてもらいました。

中から出てきたのは、白いティディベア。

くまちゃんでした。

「あんた小学生の時、いつも抱いて寝てたじゃない」

母は懐かしそうに笑っていました。

私は、何も言えませんでした。

さっき抱きしめられた感触と、あの夜の記憶が一気によみがえってきたんです。

あの息遣いと、湿った生温かさ。

結局、くまちゃんはゴミに出しました。

供養も考えましたが、とにかく離れたかった。

怒るかもしれない、とも思いました。
でも近くにいるのが嫌で嫌で。

3/4
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