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呪い・祟り

イブも歩けば棒にアダムさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

ある女性の日記と思しきものについて
長編 2026/02/03 12:34 526view

すぐ轢き逃げ犯を追おうとしましたが、友達の方から嫌な鈍い音がしたため、流石に心配が勝り友達の介抱を優先することに。

きっと、犯人に対する怒りが顔に出ていたんだと思います。
どう見ても本人は絶対大丈夫じゃないのに、友達は「大丈夫だから、うん…平気」と少し遠慮がちに私を宥めるように言うのでした。

救急車を呼び、後日そのお見舞いに行った時のこと。

病室を尋ねると、彼女の他にも何人かが同じ病室で寝ていました。

友達と他愛もない話をし、ふと窓際に目をやると。

瓶の中で水に浸かった一輪の綺麗な向日葵が、陽の光が差し込む窓の外ではなく内側、病室で静かに本を読んでいるおばあちゃんの方を向いていました。

実は向日葵は造花で、おばあちゃんが花をいつでも見れるようにしていただけで私の勘違いだったのかもしれません。
ですが、事実はどうあれ2年前の出来事を思い出させるには十分な光景でした。

どうして今日までずっと忘れていたのか。

もしかしたらあの日以降、無意識に向日葵を見ないようにしていたのかも知れません。

拍動は私を急かすように小刻みに脈打ちます。
友達にまた来るねと伝え、その日は帰ることにしました。

程なくして友達は2週間で退院。
友達の退院後に聞いた世間話で、そのおばあちゃんが違う病室に移されたと聞きました。

おばあちゃんの親戚らしき夫婦が訪れ、しばらく話した後、おばあちゃんを抱きしめながら大人であることを忘れているかのように声を上げてボロボロ泣いていたのを見て、どんな話をしていたのか大方察したと言っていました。

おばあちゃんの方も何も言わず、優しい顔をしながら泣きじゃくる女性を安心させるように背中をポンポンと力なく叩くのでした。

他の患者にも優しく、老化によるボケもほとんどなく、優しくて普段からとても大人しい良いおばあちゃんだったそうです。

その話を聞いて、花瓶に刺さったあの向日葵のことがすぐ脳裏を過ぎりました。

テレビ取材、ブログ写真、そして花瓶ー。

きっとどれか1つだけであれば全く気にしていなかったと思います。
しかし、三度も重なると、私の中ではもう偶然とは考えられませんでした。

私はすぐにスマホの写真フォルダを開きます。

何度も何度も指を直線運動させ、過去へ過去へと記憶を写したアルバムを遡っていく。

正直、あの日撮った花の写真をもう一度見るのが怖くて仕方ありませんでした。

焦りからか時々誤ってスクロール中に関係ない写真を何度か開く程、冷静とは程遠い精神状態でした。

ですが、向日葵が何かよからぬ予兆に絡んでいるかもしれないという疑念の真偽をどうしても確かめざるを得ませんでした。

…母の身に何も無ければ。
私の願いは、思いは…ただその一心でした。

母と向日葵を撮った写真を探して、ようやく見つけました。
私は「あぁ…」と溜息混じりの声を漏らしました。

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