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心霊

Zoneさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

昼間のお墓道~走る女~
短編 2021/04/04 12:35 1,079view

私が小学五年生の時の話です。
学校終わりに、Mちゃんの家で遊ぶことになりました。
Mちゃんはまず、学校から私の家に一緒に帰りました。そこで私がランドセルを置き、自転車をもってMちゃんの家に一緒に向かったのです。しかし、Mちゃんの家に向かう途中で私はMちゃんと喧嘩をしました。隣に並ぶのが嫌だったので、私はMちゃんよりも20mほど前を、自転車を押しながら歩いていました。
Mちゃんの家に行くにはお墓の並んだ長い道を通らなければなりません。そのお墓道に入ったのは、私たちがちょうど喧嘩をしている時でした。少し怖くはあったのですが、15時ごろでまだ明るかったので、私は先にお墓道に入りました。
お墓道に入ってすぐのことでした。遠い後ろの方からすすり泣く声が聞こえたんです。私は喧嘩していたMちゃんが泣きだしたのかと思い、急いで後ろを向いて確認しました。しかし、Mちゃんは変わらず20mほど後ろをゆっくり歩いていましたが、泣いている様子はありませんでした。
聞き間違いかと思い前に向き直りました。その瞬間、さっきよりも近い場所ですすり泣く声が聞こえたんです。より鮮明に聞こえたその声は大人の女性の声でした。
私はすごい勢いで後ろに振り返りました。後ろを向いていると声は聞こえません。とても静かです。Mちゃんは遠くから私を不思議そうに見つめていました。彼女には声が聞こえていないようでした。

私はまた前に向き直りました。すると、すすり泣く声がさっきよりも近く、激しくなりました。「あ”あ”-あ”ぁ”-,,,]と、恐ろしい悲しい声でした。
この時にはペタペタという音も聞こえていました。それは、裸足で道を走っている音だとすぐにわかりました。ペタペタという音がスピードを上げ、ベタベタベタベタという音に変わります。このとき私の身体は全身の筋肉が硬直したように微動だに出来ず、ただ自転車をすごい力で握ることしかできませんでした。
音と声はどんどん大きくなり、頭に中なのか耳元なのか分からないほど大きく感じました。走ってきたその女とぶつかる!!と思ったその瞬間、身体に大きな衝撃が走り、ガクッと全身の力が抜けました。
気づけば私の周りはあまりにも静かで、穏やかな日常に突然引き戻された感覚がしました。何も起きていなかったかのような不思議な感覚です。
私の呼吸は荒く、全身が汗でぐっしょりしていました。後ろを振り返るとMちゃんは変わらずそこにいて、変わらない表情をしています。
私は喧嘩していることも忘れ、自転車を走らせてMちゃんのもとに行き、今起きたことをマシンガントークで説明しました。Mちゃんは驚いていましたが、私のあまりの権幕に押され、喧嘩のことは持ち出さず話を聞いてくれました。彼女曰く、私が何度もすごい勢いで後ろを振り返るので不思議に思っていたそうです。しかし、走る女を見てはいないし、声も聞いてないそうです。

それから何年か経った頃の事です。私はコンビニで友達の会計を待っている暇な間、漫画コーナーを見ていました。そこには一般の人の恐怖体験がたくさん載せられている漫画本があり、私はその本を立ち読みしていました。すると、白装束を着た長い黒髪の女が、ものすごい形相で泣きながら走っているのを見たという話しでした。その女には壊れた足かせがついており、素足のまま走り続けている絵でした。歩いている周りの人間には目もくれず、ただただ泣きながら走っているのだそうです。
その漫画を読んで以来、あの女は今も日本のどこかをひたすら走り続けていて、いつかまたばったり会う日が来るのかもしれないなんて考えています。

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