名簿を見ると、
鈴木の名前が消えていて、
そこに山田が増えていた。
その瞬間、分かった。
山田は増えてるんやない。
侵食しとる。
山田になると、
前の名前も人生も上書きされる。
そして山田になった瞬間、
「元のその人」は、他人の記憶から消える。
だから誰も騒がへん。
消えた人間を、誰も覚えてへんから。
じゃあ、なんでわいは気づくんや。
答えは単純や。
わいは、最初から山田やから。
山田は、山田を認識できる。
けど、途中から山田になったやつは、
もう戻られへん。
名字ランキングは、毎年更新される。
次の年も、その次も、
一位は山田のままや。
SNSでは
「日本、山田多すぎやろw」
みたいな軽いノリで流れて、
誰も疑わへん。
疑うための比較対象が、
もうこの国に残ってへんからや。
……ここまで書いて、
ふと手が止まった。
じゃあ、これは誰が書いとる?
この話は怖かったですか?
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