私、見たもん
投稿者:金網政太郎 (3)
友人が奥さんの実家(遠野物語で有名な某県)に行った時の話。
近くを流れる川が緑に溢れていてとても綺麗だったので友人が冗談で「河童でも出て来そうですね」と言ったところ・・・
奥さんのお母さん(義母)「昔はいたんだけどねぇ」
友人「それって言い伝えですよね」
母「いや、言い伝えじゃなくて、普通にいたのよ」
友人「この川にですか?」
母「そう、いたのよ。私、見たもん」
友人によると、お母さんは冷静沈着な性格で普段は冗談もほとんど言わないらしい。
その時も目は全く笑っていなかったそうだ。
友人「お母さんが子供の時の話ですか?」
母「そうよ。学校の友達と川遊びをしていたら川上の右岸に河童が何匹も現れたの。何をするのかな?とみんなで見ていたら、川の真ん中にある石に飛び移りながら次々と左岸に渡っていくのよ」
友人「何匹もですか?」
母「20匹以上はいたわよ。身長は1mくらいだったかな。でも、人間の子供じゃないわよ。体中が緑色だったし」
友人「夢とかじゃないですよね?」
母「違うわよ。そこにいた5人の友達と全部の河童が川を渡り終わるまで見ていたんだから。その時の子が近所にいるから今から呼んできてもいいわよ」
ニコリともしないで言うので友人は奥さんに「これ、本当なの?」と尋ねると・・・
奥さん「お母さんは私が小さい頃からこの話を聞かせてくれたよね。一緒に見た、というおじさんやおばさんも近所にいるから私は本当のことだと思っているよ」
母「だ・か・ら、河童はいるのよ。私、見たもん」
環境汚染で絶滅したんだろうね…