息子は振り向いた。
その目は、空だった。
「……よかったね」
「嬉しくないの?」
「嬉しいって何? ……それより、あなたは誰?」
足りなかったのは、金ではなかった。
母親の「何だってする」という言葉どおり、
息子の願いも、努力も、心も――すべて奉納されていたのだ。
森の上空で、カラスが一声だけ鳴いた。
合格帳面は、確かに書き換えられていた。
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