激しく愛撫された場所に、
感覚がない。
ひんやりとした、だが、燃えるような舌遣いを受け入れた俺の体は
触っても、遅れて伝わる。
冷たいのか熱いのか、よくわからない。
「寝違えたかな」
そう思おうとしたが、
夢の中で聞いた音を思い出してしまった。
ジュプ、ジュプ、という粘着質な音。
・・・
ある晩、夢の中で、はっきり声を聞いた。
「……まだ、味がする」
それは底なしに甘く、縛り付けるような声だった。
次の瞬間、
舌の感触が、一段深くなった。
肌じゃない。
内側を呑み込むような。
怖くなって、夢の中で叫んだ。
「やめろ!」
すると、動きが止まった。
一瞬の沈黙のあと、
声が、少しだけ不思議そうに言った。
「え?
だって、欲しがってると思った」
目が覚めたとき、
愛撫を受け入れていた場所が――消えていた。
消えた、というより、
最初から無かったみたいに思い出せない。
そこに何があったのか、説明できない。
でも、確実に“舌”の感覚だけが残っている。
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