集合場所は、Aくんの住むマンションの前ということになっていました。
エントランスの大きなドアを押し開け、彼の部屋のインターホンを鳴らします。
ピンポーン…
「はい。」女性の声でした。
もしもし、Aくんのお母さんですか?
「はいー。もしかして私くん?」
そうです、と答えると
「Aと一緒じゃないの?まだ帰ってないけど」
と言うので、じゃあそこで待ってますと言い
インターホンを切りました。
Aくんのお母さんからは先に上がってもいいと言われましたが、なんか気まずく感じたのもあり大人しく待つことにしました。
それからすぐ、Aくんが体操着袋を持って現れました。
Aくんは、
「待ってなくてもいいのに」
と言いながらオートロックを解除すると、そのままエレベーターへ案内してくれました。
慣れた手つきで「9」のボタンを背伸びしながら押すと、間もなく箱は動き出しました。
あれ、10じゃないの?と私が聞くと、彼は
「ねんのため。」
とだけ答えました。
9階に到着すると、Aくんは勢いよく飛び出し、
私がエレベーターを降りるより先にエレベーター横の非常階段の重い扉を開け、Aくんがさっさと階段を上がっていきました。
あわてて後を追いかけると、
階段を上がった先の鉄でできた扉の前にAくんが立っていました。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 3票


























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。