次の瞬間その落ち窪んだ2つの目、鼻、口から、どす黒い血がタラタラと流れだした。
うわっ!
驚いたSは思わず後退りする。
その時だ。
突然彼の視界を強い光が遮った。
耐えきれず彼は目を瞑る。
そしてそのままその場に倒れ込んだ。
※※※※※※※※※※
それからSは、薄いピンク色のモヤに包まれた世界を漂っていた。
どれくらいの時間が過ぎただろうか?
彼は突然自分を呼ぶ声で覚醒した。
瞳を開くと、眩しい光を背にマスクをした男の顔が視界に飛び込んでくる。
だがまたすぐに薄いピンクのモヤが遮ると、そのまま彼は暗闇の世界に包まれていった。
白衣姿のマスクの男は一度ため息をつくと、ボソリと呟く。
「ようやく意識を取り戻したと思ったのだがな、、、」
彼はSの片目を開かせ、小さな懐中電灯の光をその瞳に浴びせた。
それから手首から脈を探した後ガックリ項垂れ、正面に立つ若い看護師に向かって首を横に振る。
看護師は険しい顔で頷くと、口を開いた。
「会社の帰りに暴走トラックに跳ねられここに緊急搬送されてから、今日でちょうど一週間でした。
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