遺書によると、原因は鬱。
社会人になって、パワハラ上司にずっと悩まされていたらしい。
ここ数年は幻聴も聞こえていて、職場でも奇怪な言動を繰り返していたんだとか。
私宛に残されていた遺書には、こう書かれていた。
「あの時聞いた声が、今でも俺を追いかけて来てる」
「俺が悪い、俺が悪かった。もう何も聞きたくないんだ」
あの肝試しの時、すでに患っていたであろう兄の鬱に、何で気づけなかったんだろう。
後悔しながら読み進めた先、思わず凍りついた。
「あの時、彼女に逃げられたから、お前でも良いやと思った」
「反省してるよ、反省してるのに、何で今でも言われないといけないんだ」
「今でも俺には聞こえてるんだよ、”お前から落ちに来たんだろう、早く死ね”って」
「何でお前は平然としてんだよ、お前も苦しめよ。俺だけなんておかしいだろ」
あの夜、兄が私を誘った理由。
あの夜、肝試しデートをしようとしていた理由。
『街の明かりが見える。意外と綺麗だぞ』
ガードレール側に、私を呼んだ理由。
本当の答えは、もう分からない。
ただ、私は未だに、兄の墓参りに行けないままでいる。
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