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心霊

君尋さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ありきたりな話ではあるけど
短編 2025/11/06 17:19 863view
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俺の親父から聞いた話。
普段は怖い話なんて鼻で笑うタイプの親父が話してたから、凄い印象に残ってる。

なんでも親父が入学した中学は、ちょっと前に校舎の建て替えがあったとかで旧校舎が残っていたらしい。
古い木造の校舎でいかにもな雰囲気があったけど、入学タイミングではまだ3年生の教室がそっち側にあったから、普通の校舎として出入り自由だったんだと。

で、親父が2年になった年、3年生が卒業して空っぽになった旧校舎に、いきなり怪談話が出てきたんだそうだ。

「旧校舎1年3組のクラスで、教室後ろ側から黒板の写真を撮ると変な物が写る」

大体こういう怪談って、曰くと一緒に語られる事が多いと思うんだ、例えば「自殺した学生が居て」とか。
ただ、この怪談にはそんな曰くが一切無くて、ある日いきなり中学全体に広がったらしい。

もちろん、親父も流行りに乗っかったんだ。
当時は使い捨てカメラが主流だったから、わざわざ買って、写真撮って、現像に持っていったんだな。

現像された写真をワクワクしながら見てみたら、何にも写ってない。
友達が撮った写真にはオーブ的な物が写ったりしてたのに、それらしき物は全く写ってなくてガッカリしたんだと。
ただ、ある程度小遣い突っ込んで撮った写真をすぐ捨てる気にもならなくて、引き出しの中に突っ込んでそのまま忘れてたんだ。

でだ、3年に進級した頃に旧校舎が取り壊される事が決定して、先生が写真を撮りにちょこちょこと旧校舎に行く姿を見かけるようになった時、ふと自分が撮った写真のことを思い出してな?
綺麗に教室が写ってたし、渡したら喜ぶかもとか考えて、久々に取り出して中を確認して思わず悲鳴を上げたんだって。

あの時、確かに何にも写ってなかったはずの写真に、妙な物が写り込んでたんだ。

それは、女子生徒だった。
90°近くダラリと首を傾けて、カメラを見ながら目を見開いて、壊れたような笑顔を浮かべたソレが、一枚一枚、ちょっとずつちょっとずつカメラに近寄ってきてるんだ。

もう怖くなって、すぐにその写真はゴミ箱に捨てたんだと。

そんな経験したから、親父は怖い話を鼻で笑うんだって。
信じてないんじゃ無くて、それ以上に怖くて、理不尽で、由来の分からない体験したから、大抵の話が怖く無いんだってさ。

親父が写真を撮るのも写るのも嫌いな理由が、その時に理解出来た。

親父が写真に関わると、写るんだってさ。
いまだにその女が。

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関連タグ: #写真#心霊写真
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