音の棲む部屋

激しい痛み。叫び声。

次の瞬間、どこからともなく、女の笑い声が聞こえてきた。

嘲るような甲高い声が、次第に歪んだ音に変わっていく。

「ヒヒ、ヒャハ、ヒャーッハッハ……」

笑い声は空気を引き裂くように響きながら、天井の隅へと這い上がっていき、溶けるように消えた。

彼女は病院に運ばれ、治療された。けれど、医者は言った。

「指の神経がやられてしまっている。もうピアノは……無理だと思います」

数日後、学校の音楽室の鍵は修理された。
ピアノの鍵盤蓋も壊れていて、固く閉じたまま二度と開かなくなっていたという。
結局そのピアノは、使い物にならなくなって、学校から廃棄された。

そして彼女は――
それ以来、ピアノの音を聞いただけで、怯えて泣きわめくようになってしまったらしい。