母と買い物をしていた帰り、親戚の一人とばったり会った。
その男は、ニヤつきながら徹に近づき、こう言った。
「おばさん、あんたが殺したんじゃないんだろ。
あの日、お前が義理の父さんを刺したんだよな?
本当は覚えてるんだろ?」
その瞬間、徹の視界が白く弾けた。
風呂場で叫ぶ母、浴槽の縁に座る義父、徹の手には包丁。
——「死にな!!!この○○野郎!!」
風呂場は血の海に染まった。
そして、自分がそれをやったのだという感覚。
母はすべてをかぶり、刑務所に入ったのだ。リサを守るために。
だが、今度はリサが、徹を守る番だった。
親戚の男が変死体で見つかった。
状況は前回と同じ。証拠も目撃者もなし。
徹は、あの夜と同じく“夢”を見ていた。
リサが男の口元にルージュを塗り、笑いながら締め上げる姿。
その時、もう一つの声、徹の中にいる第2の人格が囁く。
「リサはあなたの盾。あなたが壊れないように
汚れ役を引き受けてる」
「だからって、人を殺していい理由にならないだろ!」
「あなたが“許可”したから、リサはあなたの盾になったのよ」
どういうことだ?俺が許可した?何を?・・・思い起こしていた。
徹が幼い時から、義父が亡くなるまで、何度も虐待されている中
徹が中学生になったとき、一度だけ母が止めに入って
義父の怒りの矛先が、母親に向けられたときがあった。
そのとき、本気で泣きながら「助けて」と心の中で叫んだ。
怒りと悲しみの感情が入り混じりながら、自分が抜け落ちていく
感覚。
徹はすべて思い出した。
あぁ~、あのときだ、あれがきっかけで、俺はアイツを・・・
徹はそのとき、リサを創り出したのだ。


























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