俺が、助けてって言ったから・・・。
涙が溢れて止まらなかった。悲しいからじゃない。
怒りとも違う。情けなかった。
徹は、自分が弱いせいで、リサを創り出して
自分を守ろうとしていたんだと、情けなくて、悔しくて
胸がつまり、息ができないほど号泣していた。
徹は鏡の中で自問する。
「このままじゃリサは今以上に暴走する。俺は……リサを、
止めることができるのか?」
その日の夜、夢に小学生くらいの女の子が出てきた。
見覚えのある家。昔住んでいた部屋だ。
まだ、義父が生きていたころ、3人で住んでいたアパート。
その女の子は、黙って立ったまま徹を見ていた。
「あっ!」
その女の子は、徹だった。
静かに近寄っていくと、子供時代の徹が
大人になった徹を見上げて言った。
「リサは、徹が抱きしめてあげれば、消えるよ。」
小さな徹は、ニッコリ笑ってスーッと姿を消した。
その後、徹は普通に暮らしている。
夢に出てきた幼い徹が言っていた
「抱きしめてあげれば、リサは消える。」
実際はそうじゃない。
消えたんじゃなくて、徹が吸収したのだ。
もともと徹はリサだ。男として生きるために名前を変えただけ。
女のリサを受け入れただけのことだった。
徹は今もホストとして、母と二人で穏やかな生活を
送っていた。
母は何も聞かない。すべてを知っているような目で、黙っている。
2件の殺人事件も、解決していない。
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