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呪い・祟り

hntcpm123さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

贄の家
長編 2025/10/15 16:55 3,058view

そして、美緒は、うなされながら、あの歌を歌い始めた。

「あーかい、あーかい、おうちー」

「なーにで、ぬるーのー」

僕は、美緒の歌声を聞いて、恐怖に震えた。

美緒も、あの歌に囚われ始めてしまったのだ。

その時、僕の携帯電話が鳴った。

表示された番号は、ケンジの携帯電話番号だった。

僕は、震える手で電話に出た。

「健人…俺だ…」

聞こえてきたのは、微かに弱々しい、ケンジの声だった。

「美緒を…赤い家へ…連れてきてくれ…」

ケンジは、そう言うと、電話を切った。

僕は、美緒を連れて、赤い家へ向かうことを決意した。美緒を救うには、あの家で、あの歌の呪いを断ち切るしかないと思った。

第六章:儀式の場所へ

赤い家の中は、以前よりもさらに不気味だった。空気が重く、冷たく感じられた。壁には、美緒が描いたと思われる、奇妙な落書きが描かれていた。それらは、まるで呪いの歌を視覚化したかのような、歪んだ絵だった。

奥の部屋に行くと、そこには、蝋燭の光に照らされたケンジが立っていた。彼の目は虚ろで、まるで何かに操られているかのようだった。彼の周りには、集落の古い資料や、呪術に使われたと思われる道具が置かれていた。

「健人…美緒を…ここに置いていけ…」

ケンジは、僕にそう言った。その声は、ケンジ自身の声でありながら、どこか別の誰かの声が混じっているように聞こえた。

僕は、美緒をケンジに渡そうとした。しかし、その時、僕は、部屋の中央に置かれた石碑に気づいた。石碑には、古文書に記されていた呪いの歌の楽譜が刻まれていた。そして、その楽譜の中心には、赤い染みがついていた。

僕は、ケンジが、呪術師の魂に操られ、再びあの歌を完成させようとしていることを悟った。そして、美緒は、その儀式に必要な存在なのかもしれない。

最終章:呪いの解放

僕は、ケンジから美緒を奪い返した。

「ケンジ!目を覚ませ!それはケンジじゃない!」

僕は、ケンジに向かって叫んだ。

しかし、ケンジは僕の言葉に耳を貸さず、僕に向かって、あの呪いの歌を歌い始めた。歌声は、部屋全体に響き渡り、僕の心を掻き乱した。

僕は、ケンジの歌声に抗いながら、美緒を抱きしめた。そして、僕は、石碑に刻まれた楽譜の中央にある赤い染みに触れた。それは、乾いた血の染みだった。

僕が染みに触れた瞬間、赤い家全体が、激しく揺れ始めた。壁に描かれていた落書きが、音を立てて剥がれ落ちていく。そして、家全体を覆っていた赤い色が、まるで生きているかのように蠢き、やがて消え失せた。

僕たちの目の前には、煤けた古い家が現れた。かつての「贄の家」ではなく、ただの寂れた屋敷だった。

そして、ケンジは、歌うのを止め、ゆっくりと倒れた。彼の顔から虚ろな表情が消え、安らかな顔つきになった。

僕は、ケンジを抱き起こした。

3/4
コメント(1)
  • 初めて長編出来た。大変なんだよ。

    2025/10/15/16:56

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