「健人…」
ケンジは、微かに僕の名前を呼び、そして息絶えた。彼の身体は、呪いから解放されたかのように、軽くなっていた。
僕は、美緒を抱きしめ、家から出た。夜が明け、太陽の光が、煤けた家を照らしていた。
集落の人々は、あの家から歌声が聞こえなくなったことに気づき、安堵の表情を浮かべた。そして、僕は、美緒を抱きしめ、東京へと戻るのだった。
呪いは、断ち切られた。
しかし、僕の記憶には、赤い家で起こったこと、そして、ケンジの死が、永遠に刻まれた。
そして、僕は、あの歌が、いつか再びどこかで響き渡るのではないかと、密かに恐怖を抱き続けるのだった。
終
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初めて長編出来た。大変なんだよ。