「逃げられない…あの歌から…」
僕はケンジを心配し、彼を落ち着かせようとした。
「ケンジ、あの歌は何なんだ?赤い家とどう関係があるんだ?」
僕が問い詰めると、ケンジは苦しげに答えた。
「あの歌は…誘ってるんだ…あの家へ…そして…」
ケンジは、それ以上言葉を続けることができず、意識を失った。
その晩、僕はケンジの部屋で見つけた古い日記を読んだ。それは、ケンジの祖父が残した日記だった。日記には、あの屋敷がかつて「贄の家」と呼ばれていたこと、そして、そこで行われたという奇妙な儀式について記されていた。しかし、儀式の詳細は曖昧で、肝心な部分は塗りつぶされていた。ただ、日記の最後には、こう書かれていた。
「歌を聞いた者は、あの家へ導かれる…そして、儀式は再び始まる…」
第三章:呪われた集落
ケンジが意識を失ってから、集落では、さらに不穏な出来事が頻発するようになった。
夜になると、遠くからあの歌声が聞こえることが増えた。そして、歌を聞いた者は、悪夢にうなされたり、奇妙な行動をとるようになった。
集落の人々は、恐怖に震え、互いを疑うようになった。
「あの男が帰ってきたからだ…」
「歌を聞いた者が…あの家に呼ばれているんだ…」
僕は、このままではいけないと思い、赤い家と歌の謎について、さらに深く調べることにした。
僕は、集落の長老に会いに行った。
長老は、集落の古い言い伝えを教えてくれた。
「あの家は、昔、集落から追放された呪術師が住んでいたという。呪術師は、集落に恨みを抱き、あの家に呪いの歌をかけた。その歌を聞いた者は、心を奪われ、呪術師の意のままになるという…」
長老は、そう語ると、顔色を悪くした。
「だが、その呪術師は、既にこの世にはいないはず…なぜ今になって、歌が聞こえるのか…」
僕は、長老の話を聞き、あの歌が単なる昔話ではないことを確信した。あの歌は、今も集落の人々に影響を与えている、生きている呪いだった。
第二部:呪いの連鎖と歌の記憶
第四章:歌の正体
僕は、集落の図書館で、さらに古い資料を探した。そこには、集落の歴史を記した古文書が残されていた。古文書には、あの呪術師が、集落から追放された後も、秘密裏に集落に影響を与え続けようとしたことが書かれていた。彼は、自分の魂を歌に込め、あの家に封じ込めたという。
「歌は、呪術師の魂そのもの…歌を聞いた者は、呪術師の意識と繋がってしまう…」
古文書には、そう書かれていた。
僕は、あの歌が、単なる幻聴や悪夢ではないことを悟った。それは、確かに存在する、呪術師の魂の叫びだった。そして、その歌は、聞いた者の心を操り、あの家へ誘い込もうとしている。
僕は、ケンジがなぜあの歌に囚われてしまったのか、そしてなぜ美緒が歌を口ずさんだのか、その理由が分かったような気がした。僕の故郷に帰るという決断が、呪いの歌を呼び覚ましてしまったのかもしれない。
第五章:赤い家の誘い
ある夜、美緒が突然、高熱を出した。























初めて長編出来た。大変なんだよ。