気づいたら朝になってて、窓の外からまたいつもの生活音が聞こえてきました。
自転車のブレーキの音、子どもの声。
ああ、夢だったのかも、と思いたかったんです。
でも、スマホを見てゾッとしました。
録音アプリが勝手に起動してて、「録音中」のまま止まってたんです。
時間を見ると——03:12〜03:47。
ちょうど、あの時間。
再生はしませんでした。
削除しました。
あの声が何を伝えたかったのか、知るのが怖くて。
⸻
結局その部屋には、大学卒業まで住み続けました。
でも、あの夜を境に、人の話を盗み聞きするのはやめました。
人の話を盗み聞きするなんて、いいことじゃありませんし。
私のそんな悪癖が、誰かに話を聞いてほしい“何か”を引き寄せてしまったような気がするんです。
でも、最近悩みがあって。
人の話に聞き耳を立てまいとすればするほど、外を歩く人の声がふと気になってしまうんです。
聞かないようにしてても、耳が勝手に探してしまうんですよね。
癖って怖いですね。
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