「おい……」
「おい、……聞こえ……てるのか」
「なあ、いい……加減に……しろよ」
声が、どんどん近い。
窓の外、すぐそこ。
……なのに、どこかおかしいんです。
言葉の間が、変なんです。
録音を少しだけ早送りしたみたいに、ぶつぶつ途切れながら、妙なリズムで。
「おいきこえてるのか……なぁ……いいかげん……にしろよ……」
男はちょうど私の部屋の窓の前あたりで止まったようでした。
窓の外で、ぶつぶつ何か言っています。
ぞわっとして、私は寝返りを打って、窓に背を向けました。
きっとちょっと変な人なんだ、もしくは私が寝ぼけてるだけだって、自分に言い聞かせて。
でも、耳のすぐそばで——
「さっきからお前に言ってるんだよ」
って。
耳元で、はっきり。
誰かが話しかけてきた。
全身が固まって、動かなくなりました。
金縛りでした。
でも、ただ体が動かないだけじゃなくて、
その“声”が、耳のすぐ後ろにまだいる気配がして。
しばらくして、指先から少しずつ力が戻ってきて、
ようやく動けるようになった時、声はもう消えてました。
と思ったら——
「……はぁ」
部屋の中で、男のため息みたいな音がしました。
⸻
怖すぎて、すぐイヤホンをつけてアニメを再生しました。
眠れるわけもないのに、無理やり笑えるものを流して。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 14票























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。