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妖怪・風習・伝奇

大鷹恵さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

石川県にある閉鎖された集落
長編 2025/09/30 00:02 1,715view

「おい!お前等、石川県で大地震があった。今から石川県に行くぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
大鷹恵の地元でコロナを撒き散らかしやがった迷惑系YouTuber、ペズマ・リャンがお仲間のKKK(クー・クラックス・クラン)のメンバー相手に雄叫びを上げた。ちなみにペズマ本人や両親、親族、親友のほとんどがKKKのメンバーである。
「おおおおおおおおおお!被災地から金品を略奪し放題だぁぁぁぁぁぁぁ!」
KKKのメンバーたちは歓喜した。なお、こいつらは被災地に行って、被災者に救援活動する気は全くない。ペズマやKKKのメンバーたちは大型トレーラーに乗り込むと、スピーカーから大音量でZZトップの「ラ・グランジェ」を流しながら、石川県の方に向かって爆走した。
「ペズマさん。警察の検問はどうするんですか?」
「おいおい、マッポでも知らない福井県と石川県に行く抜け道が存在するんだよ」
ペズマは古い地図を見せる。

さて、福井県と石川県の県境の道路にて、警察による検問がはられている。勿論、ペズマのような迷惑系YouTuberが石川県に来ないようにするためだ。白い防寒服に身を包んだ高松ルークが辺りを見回す。とにかく、石川県に支援に行くYouTuberの大半が被災地や被災者を利用して再生数やインプを稼ぐための売名行為が多いのである。県の広報ですら
「来るな」
と言うくらいである。ルークはベネリM4・スーペル90散弾銃が寒さで故障していないかチェックする。その時、一台の赤いホンダ・プレリュード(二代目)が到着した。ルークは敬礼する。プレリュードから肩に古びたStG44軽量自動小銃をかけた男が降りる。
「ルーク。突然呼び出してすまないね」
「いや、いいですよ。ティルキス先輩」

ルークの警察学校の先輩である福井県警の刑事ティキス・アレンはルークの前に暖かい缶コーヒーを差し出す。ルークはコーヒーを飲みながら
「ティキス先輩。これで大丈夫なんですか?」
「迷惑系YouTuberかい?」
「ええ。連中の事だから陸上だけでなく、海上の方からも来るでしょう。それに・・・」
「キミが言っているのは封鎖された地下道路の事だね?」
「はい。昔、ティキス先輩から封鎖された地下道路について聞かされました。連中の事だから」
「んふふふ。封鎖された地下道路が本当に封鎖された理由があんだよ。ルークはトビー・フーバー監督のホラー映画「死霊伝説」を見たことがあるかい?」
「昔、ティキス先輩にVHS版を見せられたし。たしか、現代の田舎町、セイラムズ・ロットに潜む吸血鬼の話だったな?」
「ああ。実は石川県で知られていない怪談の一つに石川県と福井県の県境に吸血鬼たちの集落があるのよ。ちなみにDVD版の方は完全版で3時間もあるのよ。そもそも、「死霊伝説」自体、アメリカではテレビ放送された奴で日本では映画館で劇場公開だったからな。あの当時のトビー・フーバーは「悪魔のいけにえ」や「悪魔の沼」といった田舎ホラーの傑作を作り続けていたからね、いつもヘラルドがトビー・フーバーの映画を配給していた。それに原作は「スタンド・バイ・ミー」や「ショーシャンクの空に」のスティーブン・キングなんだし、ホラー映画ファンの期待も高まるよ。それに本作はドイツの潜水艦映画「U・ボート」と同時上映だよ。余談だけど、キングは「2001年宇宙の旅」や「時計仕掛けのオレンジ」で知られる巨匠、スタンリー・キューブリックが監督した映画版「シャイニング」を「エンジンの入っていないキャデラック」なんて貶していたけど、キューブリックの映像テクニックで「シャイニング」を文句の付け所がないくらいに「シャイニング」を面白くさせているんだ。原作者の批判よりキューブリック、クローネンバーグ、フーバー、デ・パルマ、フランク・ダラホンといった映画監督の力(作家主義)こそが原作つきのホラー映画作品を面白くさせているんだよ。もっとも、キングの「芝刈り機の男」を原作を元に当時、流行になりつつあったサイバーパンクと当時のCG技術をフルに駆使した「バーチャルウォーズ」は凄かったな。「バーチャルウォーズ」も原作ファンからクレーム来たがあの作品も原作を超えた時代の最先端を行くSF映画の一つだと俺自身は思っている。では、本題に入ろうか」
ティキスはにやけながら話を始める。

朝鮮戦争が終わりを迎えたころにさかのぼる。ティキスの祖父と親友で戦争帰りの中村パルシーが山で測量していた時の事であった。ちなみにこのパルシーは男性である。
「おーい、パルシー。山の天気が悪くなったぞ」

「んだよ。アレン、お前さん、ビビってんのかよ?」
「遭難したらどーすんだよ?」
「おいおい、お前さん。太平洋戦争を生き抜いた俺を舐めんなよ。熊が来ても俺にはこれがあるしな」
パルシーはガムを噛みながら、愛用のStG44軽量自動小銃を見せる。StG44はアサルトライフルの始祖とされているのだ。
「このStG44があれば、熊なんて・・・おい、アレン見て見ろよ」
パルシーをある方向に指をさす。
「集落か、よし。測量を終えたら行ってみよう」
祖父とパルシーは測量作業を終えると、集落に向かった。集落は静かであった。二人は集落を探索する。祖父は或る民家を覗く。
「!」
祖父は急いで、パルシーの元に駆け寄る。祖父の話を聞いたパルシーは
「了解。急いで、この集落から出よう。まさか、ベラ・ルゴシのホラー映画「魔人ドラキュラ」みたいなことがあるなんてな・・・」
と真っ青な顔をする。そこに血まみれの住民が立っていた。パルシーはStG44で住民に向かって発砲する。すると民家からぞろぞろと住民たちが現れる。パルシーはStG44を撃ちまくる。パルシーがマガジンの交換をしている間、祖父は手りゅう弾を取り出し、住民に投げる。投げられた手りゅう弾が爆発し、住民たちが吹っ飛ぶ。
「アレン、でかした!よし、撤収だ!」
パルシーはStG44の銃身にkissする。二人は急いで集落を後にしたのだ。その後、地元の自警団を引き連れて、吸血鬼の集落にやって来たが、住民はおらずもぬけの殻であったという。

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