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呪い・祟り

kkさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

常連客のバチさん
長編 2025/09/29 19:25 7,961view
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店内の空気はまだ重苦しいまま。
俺の胸にも、説明のつかない嫌な予感がじわじわと広がっていった。

俺はとりあえず食器を片付け、客に注文を届け、何事もなかったように仕事を続けた。
だが胸の奥では、さっきのバチさんの「バチ当たるよぉ」という言葉がぐるぐると回っていた。

しばらくして店長が戻ってきた。
「ただいま。……あれから大丈夫だったか?」といつもの調子で声をかけてくる。

俺は少し迷ったが、正直に答えることにした。
「……店長。実は……さっき新人が、バチさんを追い出しちゃったんです」

その瞬間、店長の顔色が見る見るうちに青ざめた。
「……な、何だって……?」

あの普段冷静な店長が、まるで血の気が引いたように固まっている。
俺は思わず息を呑んだ。

店長の顔がさらに引きつる。

「新人の子はどうした!? バチさんは、何か言ってなかったのか!?」と慌てた様子で俺に問いかける。

俺は少し口ごもりながら答えた。
「新人はさっきシフト終えて帰りました……。バチさんは今日は『帰る』って言って帰ったんですけど……」

店長は一瞬言葉を失い、手で額を押さえる。
その目には、ただならぬ恐怖と焦燥が滲んでいた。

「……くそ……まずい……」と、低く小さく呟く店長。

「大丈夫ですか、店長?」と俺が尋ねると、店長は肩を落とし、少しだけ苦い笑みを浮かべて答えた。

「◯◯君……新人君のことは、早いうちに辞めることになるから……」

その声には、ただの忠告以上の重みがあった。何か“避けられないこと”が起きることを、店長自身が既に悟っているかのようだった。

やがて数日後、突然新人は無断欠勤を続けるようになっていた。

「どうしたんだろう…」と、俺は首をかしげながら仕事に集中していた。

すると、昼過ぎになって新人がやってきた。だが、その様子は明らかにおかしい。目の下には濃い隈ができ、全身を小さく震わせるように自分を抱きしめながら、ぶつぶつと何かを呟いていた。

言葉の内容は聞き取れず、ただ怯えきった表情だけが、異様さを際立たせていた。

俺は思わず声をかけた。
「どうした?何があったんだ?」

すると新人はゆっくりと俺の方を見上げ、その目には恐怖と混乱が入り混じっていた。口を開こうとするが、言葉は震え、うまく出てこない。小さな声で、かすかに呟くように

「…あの人が…」

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