僕は図書館にて、A村から「ある写真」を見せた。その写真は心霊スポットで有名な旧小峰トンネルを映していた。写真は東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件と同じ時期に撮影されたものであった。そして、ゴミ袋を背負っている女性と東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の犯人Mの二人が写っている。
「大鷹さん、このトンネルの写真を見てどう思いますか?」
A村は僕に質問をした。
「幽霊が写っているような感じがしないんだが・・・」
僕はそう答えた。A村は
「この写真には連続殺人鬼Mは写っていますが、幽霊は写っていません。問題は「ゴミ袋を背負っている女性」もなんです」
と殺人鬼Mの隣にいる「ゴミ袋を背負っている女性」を指さす。僕は写真を凝視した。僕は「ゴミ袋を背負っている女性」に見覚えがあった。
「この女性、もしかして秋田児童連続殺害事件の犯人S・H?」
「はい。大鷹さんの言う通り。S・Hですよ」
「なぁ、A村。もしかしてS・HはMと何か関りがあったのか?」
「それについて今から話をします。恐らく、S・Hも東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件に関与してる可能性があるんです。これは今では実証できない仮説(所謂、悪魔の法則って奴だ)になりますが・・・」
A村は話を始めた。これは木曜日の夜にサーブ900の4ドアセダンで京都で有名な心霊スポットである清滝トンネルを走っている時であった。A村は
「京都最恐の心霊スポットとは言っても何もないじゃないか」
と清滝トンネルを通り過ぎた時、止まってくれと合図する男がいた。脇に黒塗りのアストンマーチン・ラゴンダ(シリーズ2)が駐車されてあった。A村は
「何だろうな・・・もしかして車のエンストかな?それにしてもこんな所でアストンマーチン・ラゴンダを見かけるなんてすごいな・・・。ラゴンダなんてレア中のレアなのに」
とサーブ900をアストンマーチンの後ろに止める。A村はサーブ900から降りて
「どうかしましたか?」
と男に聞く。若い男はにこやかに笑いながら
「実はあなたに伝えたいことがあります」
と答えた。この時、A村は
「何言っているんだ?この人」
と思ったそうだ。そして、アストンマーチンの運転手であろう若い男はA村に「旧小峰トンネル」の写真を渡す。若い男はMとS・Hが起こしたある殺人事件について語り始めた。この二人は1988年の夏頃に東京都足立区綾瀬のアパートにて強盗殺人を行ったというのである(警察は失踪したと処理されたようである)。死体が発見されるのを恐れた二人は住民の死体を風呂場で解体し、ゴミ袋に詰めて、証拠隠滅する為、アパートの部屋を放火し、旧小峰トンネルでバラバラ死体を遺棄したというのだ。しかし、A村は疑問に思った。なぜ、こんな未解決事件の内容を知っているのだろう?と・・・若い男は答える。
「実は被害者の霊が俺に「その事を告発してくれ」というんだ。そうすれば、霊は成仏すると俺は考えている。この話を出来るだけ多くの人たちにこの事実を伝えてくれ。分かったな?言っとくけど、拒否権ないからな。もし拒否したら、霊がオタクの所にやってくるぞ。霊にとりつかれたくなかったら俺の言った事をお前の周りに話すんだ」
と若い男はそう言うとアストンマーチンに乗り込んだ。そのまま、アストンマーチンを急発進させた。A村はサーブ900に乗り込むと
「なんだ、あれ?新手の「チェーンメール」か?まぁいいか、面白い話のネタが見つかったし。明日、大鷹さんに今日の事、話してみるか」
と若い男から貰った旧小峰トンネルの写真を見ながらほざく。A村はサーブを発進させ、清滝トンネルを後にした。そして、サーブと入れ違いざまに般若の仮面を被ったライダーが運転するヤマハ・650XS1が清滝トンネルの中に入っていく・・・。
「・・・という事なんだ」
A村の話を聞き、僕は
「どーも、そのアストンマーチンの男が語る怪談話は僕としては信用できないな。僕もキミの言う通り、新手の「チェーンメール」にしか思えない」
と肩をすくめる。そんなA村は
「そういえば、昔、知り合いから清滝トンネルにまつわる怖い話を聞いたことがあるんだけど、深夜にトンネル付近にヤマハ・650XS1に乗った般若の仮面ライダーが現れるんだ。まぁ、その650XS1の般若の仮面ライダーは人には危害を加えたりしないけどね」
と別の怪談話を始めた。

























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