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心霊

しゃくたんさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

留守番電話
短編 2025/09/19 19:00 1,049view

「もう、やだ……出して……」

メッセージはそこで途切れた。

その話を聞いて、俺はぞっとした。

つまり、もしまた新しいメッセージが入っていたら、彼女はさらにひどい目に遭っているということになる。

その声は、メッセージ越しではなく、まるで部屋のどこかから、直接俺に話しかけているかのようだった。

俺は周りを見回すが、誰もいない。

「聞こえてるんでしょ?」

電話の向こうで、先ほどよりもさらに激しい音と、何かが「パキッ」と折れるような音がした。

そして、微かに、彼女が最後に囁く声が聞こえた。

「次は……あなたの番」

次の瞬間、背後から、携帯電話の着信音が鳴った。

表示されているのは、自分の携帯電話番号。

俺は恐る恐る受話器を耳に当てる。

電話の向こうからは、無音。

それは、まさしく俺自身の声だった。

その声は震えていて、まるで誰かに助けを求めているかのようだった。

そして、その声に被せるように、また別の声が聞こえてきた。

女性の声だ。

「聞こえてるんでしょ?」

そして、俺は彼女と同じように、その留守番電話に録音されるのだ。

そして、次の誰かに、このメッセージが届くのだ。

俺は、まだ、壁を引っ掻く音が、どこかで聞こえる気がする。

いや、違う。

それは、俺が、今、壁を引っ掻いている音だ。

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