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不思議体験

nickningenさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

F棟8階より
長編 2025/08/16 02:00 4,394view
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1階に着くと私は友達にちょっと体調が悪いから帰りたいと言った。
友達が合図を出すと他の友達が続々と1階に降りてきた。
それから改めてみんなに体調悪いから帰ると伝えた。
ついでにみんなに何か変わったところはないか聞いたが、他の友達は特に何も無かったとがっかりした様子だった。
彼らにとっては朗報になるかと思い、
「8階ではなんか急に音が消えて、みんないなくなった。」
と私が言うと。
「お前は8階じゃなくて5階でしょ。
熱でおかしくなってるんじゃないか?」
と友達が言う。

「そんなわけ・・・。」
ポケットのメモを取り出しながら言いかけて、友達の方を見た。
友達5人が無表情で、じっと私を見ていた。
その様子に得体の知れない不安が湧き上がる。
ポケットからメモを取り出そうとする手にじっとりと嫌な汗をかく。
メモを再びポケットに戻す。
「なんか思ってるより体調悪いみたい・・・。」
とお茶を濁す。
友達はいつもの感じに戻り、
「だよな!

あんまり悪くなんないうちに早く家帰りな。」
と言ってくれた。

家に帰る途中でポケットのメモを確認する。
そこには「5」と書かれていた。
ゾッとしてメモをくしゃくしゃに丸めてそこら辺に捨てた。
もう片方のポケットのゲームボーイはなぜか無くなっていた。
家に帰ってゲームボーイをいつも隠している場所を確認するとそこにあった。
私は確かにF棟の8階にいた。
あの時、私はどこに戻ってきたのだろうか。

無表情でこちらを見る5人の顔と嫌な視線が忘れられない。
私がこれを書いている時もその嫌な視線を感じている。
──F棟8階より。

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