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不思議体験

nickningenさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

F棟8階より
長編 2025/08/16 02:00 4,391view
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ゲームを楽しんでしばらくすると、
ピッ ピッ
と笛の音が2回聞こえた。
慌てて私はゲームボーイをポケットにしまう。
自分のいる階の数字を確認する。
「8」となっていた。
一階上を確認する。
「9」となっている。
8階の1階下を確認する。
「7」となっていた。
8階の階段に戻り、階数を数えている友達に両手で大きくバツを作って合図をしようと思った。
棟の入り口で階数を数えていた友達がいなくなっていた。

どっか行ったのかと思って1階に向かおうと思ってエレベーターの前まできた。
エレベーターのボタンを押すが反応がない。
ここで、私は何かがおかしいと思った。
F棟の8階廊下の塀から周囲を見る。
向かい側のA棟のベランダに差し込む西日が窓に反射して眩しい。
A〜G棟に囲まれた敷地には公園やら、噴水やらがあり、明るい時間ならいつも誰かしらが遊んでいる。
だが、今は誰もいない。
今更なのだが、私以外の音がしない。
静かすぎる。蝉の声も聞こえない。
私は怖くなり階段まで走り出した。
もう一度、棟の入り口の友達を確認する。
やっぱりいないと思った時、瞬きをした瞬間だろうか、世界に音が戻った。

遊んでいる子供の笑い声と蝉の声がする。
マンションの階数を数えている友達も何事もなかったかのようにそこにいる。
今起こったことを話そうと思い、エレベーターの前まで来た。
エレベーターのボタンは反応する。
1階から私のいる階までエレベーターが登ってくる。
エレベーターの数字が「5」で止まり、扉が開く。
「8」じゃないの…?
そう思って背後の壁を見る。
なぜなら、階段からその階の廊下に入る所の壁と、エレベーターから降りてすぐの壁にはその階の数字が書かれているからだ。
そこには「5」と書かれていた。
幻の階に入って、戻ってきたから?
わけの分からないことが起きている。
背中を嫌な汗が伝った。
足早にエレベーターに乗って1階のボタンを押す。

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