映画の上映が終わると、シアターの扉が開いた。
受付の女性はシアター内に入る。
メインカーテンがゆっくりとスクリーンを覆い隠す。
その足取りは軽やかだった。
男性の座っていた席まで行くと、身を屈める。
その席に置かれている35mmフィルムを大事そうに抱える。
ずしりとした冷たい金属の重みが、彼女の腕に心地よく馴染む。
シアターを出ると、ウォールナットで縁取られた黒板の前に立つ。
チョークで何かを書き足し、チョークを置く。
「『君のすべて』」
指先に残った白い粉を払う。
チョークの白い粉が舞い、闇に溶けた。
女性は微かに笑った。
その笑みは、月明かりのように静かだった。
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