次の日は仕事が手につかなかった。
あのあとどうやって家に帰ったのか、夢見心地であまり覚えていない。
24時が待ち遠しくて仕方ない。
逸る気持ちを抑えてその日の仕事を終えた。
映画の後に食事と言っていた。
2時間の映画だとすると映画が終わるのは深夜2時だ。
その後の食事って…。
邪な気持ちを慌てて自制する。
あくまでまずはお互いを知るところから始めよう。
しかし、まさか自己紹介が映画とはどこまでも神秘的で奥ゆかしいと思った。
私も自身を紹介するような映画を用意しておけばよかった。
24時前、いつものミニシアター前に到着する。
扉を開くと彼女がお辞儀をした。
「お待ちしておりました。」
私が財布から2000円を取り出そうとすると彼女がそれを制止した。
「本日はプライベートですのて、お代は結構でございます。」
「プライベート」という言葉に私の心臓が一瞬飛び跳ねる。
「では、お好きなお席にご着席下さい。
24時より上映いたしますので、それまでにご着席お願いいたします。」
シアターに入る。
シアター内は濃いグレーの絨毯に赤い座席が40席ほど配置されていた。
いつもの光景だ。
上映前のため薄暗い照明が灯っていた。
いつも通り、中央から一列後方の席に腰掛ける。
彼女はどんな映画を私に見せたいのだろう。
期待感で気持ちが高揚する。
銀幕にはまだメインカーテンが掛かっている。
「上映を開始いたします。ご着席のうえお待ち下さい。」
静かな声でアナウンスされ、照明が消える。
メインカーテンがゆっくりと左右に開き、スクリーンがあらわになる。
映写機がカラカラと回り始める。
スクリーンでカウントダウンが始まる。
彼女が伝えたいことをこの映画からなるべく多く拾い上げよう。
こういった映画鑑賞の姿勢は初めてだ。
カウントダウンが終わると唐突に映画が始まった。
























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