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不思議体験

たちさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

夜の通学路
長編 2025/08/12 01:09 4,032view
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夜になっても、外は暑く、少し汗ばみながら歩いていた。小声で話をしながらあっという間に学校前の坂に到着した。
少し坂を登ったところで、全員の足が止まった。
「お、おい。あれ。」
小声で1人が前方の方を指差す。
その先には1人の女の子がランドセルを背負って歩いていた。
「え?誰?」
「マジかよ…」
全員驚きと恐怖で言葉も出ず、立ち止まっていると、後ろから足音が聞こえた。
「いってらっしゃい!気をつけてねー」
一斉に後ろを振り返るとそこには大人の女性が女の子に向かって手を振っていた。
そして、その女性は一歩ずつ、今にも倒れそうになりながら歩いて、こちらに近づいてきた。
私達は全員動けなかった。

「おい!」
1人が声をかけ、全員、横道に向かって走り出した。そのまま友人の家まで必死に走り、友人の家に駆け込んだ。
私達は息を切らしながら、何を見たのか誰1人理解できなかった。その後、それぞれの両親にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。

夏休みが終わり、始業式に、和田が転校したと先生に伝えられた。
私達は、2学期が始まったらすぐに和田に話をしようと思っていたが、それは実現できなかった。

それから月日が経ち、中学、高校と進学し、高校3年生の夏休み。
いつもの4人が集まり、1人の友人の家に泊まりに行った。
夜遅くまでゲームや話をし、翌朝、お昼前に全員起きて、何をするか話をしていた。
「なぁ、ヒマだし、今から小学校行ってみるか?」
「来年からそれぞれバラバラだからな。」
「俺らの原点に行ってみるか!」
歩き始めて、すぐに学校前の坂に到着した。

「あれ、めっちゃ怖かった。」
「なー、ヤバかったわ…」
「まさか、本当に霊を見るなんてな。それも4人全員。」
当時の恐怖を思い出しながら坂を登った。
そして、教室が見える位置に行き、校舎を眺めながら思い出話をしていると、
「ん?誰かいないか?」
「学童やってるんじゃねぇーの?」
「あそこの教室、学童で使わないとこじゃない?」
ある教室に4人の視線が釘付けになった。
そこは私達が6年生の時に使っていた教室。
確かに誰かが教室内にいるのが全員わかった。
勤務している先生かと思ったが子供のように見えた。
そして、1人が、震えた声で、
「お、おい、あれって…」

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