夜ってさ、静かだと余計にちょっとした音が気になるじゃん。
その日もベッドでスマホいじってたら、カーテンが「すっ」って揺れたんだよ。
窓閉めてるし、エアコンもつけてないのに。
なんだろって思って見てたら、もう一度、今度はカーテン越しに細長い影が動いた。
外から撫でられてるみたいな。
指先で、布をなぞるみたいな動き。
「風だよな」って思おうとしたけど……風じゃ、あんな風に指の形って出ないよな。
その日は怖くて、電気つけたまま寝た。
でも次の日も、同じ時間に「すっ」。
三日目は、指がカーテンの隙間から入ってきた。
白くて、爪がやけに長い指。
そいつが、空中でゆっくり“おいで”って動いた。
気づいたら、足がベッドから降りかけてた。
頭の奥で「近づけ」って声がするみたいで、体が勝手に動く。
お前も想像してみろよ。
自分の部屋のカーテンの向こう、誰かが立ってて、指で呼んでるところを。
やっと我に返って、布団に潜って朝まで震えてた。
でも翌日、学校から帰ってきたらさ——カーテンが少し開いてた。
外じゃなくて、中から。
窓の外を見ると、ベランダの手すりに泥のついた足跡があった。
それが自分の部屋のカーテンまで、はっきり続いてた。
今夜、また“すっ”て聞こえたら、もう……どうしたらいいと思う?
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