父は淡々と、あれは妖怪だよ。
と冗談とも本気で言っているともとれる顔で言うと、
「ここはお寺だからね、そういうのも集まってくるんだよ。
けど、もう大丈夫だから安心しなさい」
と続けて、またいつもの笑顔に戻りました。
その日からは、あの妖怪を見ることはなくなりぐっすりと眠れる毎日に戻りました。
私は高校生になり、市内の学校に通うようになったため父の元を離れ、市内に家のある叔母さんの所で生活するようになりました。
父とは、週に一度は電話で近況報告をしたり、子供の頃からの良好な関係が続いていました。
学校では、仲の良い友達に自分の実家がお寺であることを教えていました。
すると、友達の一人が行ってみたいと言うので、父の許可をもらって休日にみんなで一泊することになりました。
友達と喋りながらお寺に着くと、
「〇〇ちゃん!」
と自分を呼ぶ声がした方を見ると、よく来られる檀家さんの人でした。
久しぶりですと挨拶を交わし、色々話すうちにあの妖怪の話になりました。
「あ〜、あれば妖怪って言ってだんが
ま、妖怪っていえば妖怪だげどな」
と大きな声で笑っていました。
夜、さっき話していた妖怪の話を詳しく聞きたいとみんなに言われ、あの日の出来事を話しました。
なぜかツボに入ってみんなで大笑いし、その後もお寺あるあるトークなど話は絶えず、楽しい夜は更けていきました。
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