「俺と……戦え……俺から……逃げるのか?」
「……お前、マジうぜーな」
呆れたように、でも本気でイライラしてるかのように、痩せた男はポケットからゆっくりピストルを出して、叔父さんの頭に向ける。
パン! パン! って、テレビだと破裂音が鳴るけれど、その時の音はパシュ、パシュみたいな感じだった。
叔父さんは男の足から手を離して、地面にドスンと顔をつける。
叔父さんの顔の周りは真っ赤な血がどんどん広がっていって、でも叔父さんは全然顔を上げない。
叔父さんが動かないのを確認してから、痩せた男は「次はお前だからな」ってニヤニヤしながら僕に言う。
でも僕は痩せた男は見ずに、ピクリとも動かない叔父さんをじっと見つめる。そして、太ってる方の男に「叔父さんに最後のあいさつをしてもいい?」って訊く。
「……30秒だけならな」
太った男は痩せた男に僕の手を縛っている縄を解くように指示した。なんとなくだけど、太ってる方が兄貴分みたいな感じがしてそっちにお願いしたんだけど、正解だったみたい。
で、ぶつぶつ文句を言いながら僕の手を自由にした痩せた男は「さっさとしろよ、殺すぞ」って脅しながら僕の背を叔父さんの方に押した。
僕はよろけるような感じで叔父さんの隣にひざまずく。
やっぱり叔父さんは全く動かなくて、血溜まりはどんどん広がってて、もう二度と叔父さんの口から武勇伝を聞くことはできないんだなって僕は理解した。
「叔父さん。ありがとう。やっぱり叔父さんは僕のヒーローだよ」
僕はまだ温かさの残る叔父さんの身体を抱きしめるようにして、叔父さんの耳元で感謝を告げた。
「……もういいだろ」
だるそうに、そして無防備に近づいてきた痩せた男の目を向かって、僕は左手に握りしめた小さなナイフを突き刺した。
「いぎ……!」
短い悲鳴で済んだのは、僕が致命傷を与えられなかったから。
眼球を突き刺して、そのまま脳みそまでナイフが届けば命を奪うことができたのに、僕が非力だったからか、それとも技術の問題なのか、眼球を傷つけることしかできなかった。
「クソガキ……」
傷ついた目を隠すように押さえながら、痩せた男は僕の顔に蹴りを入れる。
1メートルくらい飛ばされた僕の頭を何回か強く踏みつけたあと、「……ぜってーこの後バラバラにしてやるからな」って言う。
パシュ。パシュ。
それが僕の聞いた最後の音だった。
あーあ。
せっかく叔父さんがチャンスをくれたのに、僕、活かせなかったよ。
ごめんね叔父さん。
全盛期の叔父さんだったらこんな奴にやられなかったのにね。
でも、生まれ変わったら僕も叔父さんみたいに強くなれるかな。
せめて、セルジュニアくらいにはなれたらいいな。

























子供がアニメについて知らないというのはずいぶん不自然な気がする。
誘拐されたことがあるのに、親がろくに警戒もしていないのがおかしい。
不思議なお話でした(○’ω’○)
アニメを見ていない子が何からヒーローについて知るのだろうか?一度、誘拐されたことのある子を親がほっておくのはなぜだろうか?誘拐された経験のある子が、なぜ誘拐犯を無駄に刺激することをするのだろうか?
おじさんかっけぇ✨️