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不思議体験

沈丁花さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

墓場で待つもの達
短編 2025/08/07 21:26 2,158view

 Iちゃんの明るい声を聞いて、私は【ああ、分かってくれた】と思った。心の底から安堵した。そしたら、私の周りの”凍てつくような重苦しい空気”が急に軽くなり、私は立ち上がることができた。まだ少しは寒気を感じるが、冷房の風に当たっているようなものだ。私は伯母・Iちゃん・キョウダイに礼を言い、一緒に墓地に向かった。

 そしたら、墓標や卒塔婆が並んでいるだけだった墓地の風景が、いつもとは違うのだ。少し離れたところにある他所の墓所の辺りを、”ふたり”か”さんにん”の”ひと”が歩いていた。けれども、その”ひと”達の髪や肌、衣類の色は空気になじんで、ごく薄い白に見えた。私の4人の親族たちは、その“仄白いひと”達に気づいていないらしかった。私も、終始何も気づいていないふりをした。しかしながら、墓地の出入り口の近くにも、別の”肉体を持たないひと”が立っていた。

 この時、私には一つ分かったことがある。墓地は故人が静かに眠っているだけの場所ではない。中には、墓参りにくる人間がどの家の親族か見ている”ひと”もいる。更に、自分の親しかった人間がお参りに来てくれるのを待っている”ひと”もいるのだ。

 墓地を出て祖父の家に戻る頃には、あの悍ましい寒気はすっかり霧散していた。だが、魑魅魍魎は怖い。私は家に入る前に、
【ここは私の親戚の家だぞ。勝手に入ってくるなよ!】
と強く念じた。
(帰りに交通事故にでも遭ったら嫌だなあ……。)
と縁起の悪いことを考えたが、私たちは無事に自分たちの家に到着することができた。

 それから数年が経った。私は職場の飲み会で、同僚の一人にその時感じた異様な寒気の話をした。霊感が強いというその人は顔をしかめて、恐ろしいことを言った。
「〇〇さん(私の旧姓)は、その時、複数の霊に一時的に取り憑かれていたんですよ。」

 もしかして、あの悍ましい霊気を纏った霊たちも、あの場所で親しかった人間を待っていたのだろうか。だが、わざわざ私に取り憑いて、いったい何をしたかったのだろうか・・・・・・。

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コメント(1)
  • 沈丁花です。またもや!天候の間違いがありましたので、訂正・一部加筆しました。

    2025/08/08/10:44

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