先輩はそう言っていました。
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そしてある日、ついに限界が来ました。
家族が旅行で不在になり、自分ひとりだけで家に残った夜のこと。
部屋で寝ようとしていたら、自室のドアがコンコンコンコンと何度もノックされました。
家には自分しかいないはずなのに――
恐怖でベッドに避難し、布団をかぶって扉の方を向いて固まっていると、今度はベッド脇の小窓からも、コンコンコンコンとノック。
布団をかぶってそのまま眠ってしまいましたが、今思えばあの夜、部屋の中にずっと“何か”がいたんだと思います。
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後日、家族にすべてを話し、正式にお祓いを受けました。
その後、引っ越すことになり、今は何事もなく過ごせています。
でも今でも、ときどき思い出すんです。
あの帯のような感覚。
鏡の手形。
そして、あの夜のノックの音。
もしかしたら、まだどこかで「こっちにおいで」と呼ばれているのかもしれません――。
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