勢いよく前方に飛び出した車は目の前の遮断機をいとも簡単にへし折り、
猛スピードで線路を横切ると反対側の遮断機をまたへし折り線路の向こう側に飛び出した。
慌てて急ブレーキをかける。
100メートルほど進んだ辺りで停止した。
そして咄嗟にバックミラーを見る。
トラックは線路内に侵入している。
次の瞬間、
黒板を思い切りかきむしるような軋むブレーキ音が夜空に鳴り響いた。
続いて耳をつんざくような強烈な金属の衝突音が響き渡り、同時に地響きが起こった。
ブレーキ音はしばらくの間続くと、やがて止まった。
※※※※※※※※※※
俺はエンジンを止めるとドアを開けて、よろけながら外に出た。
そして線路の方に目をやる。
もうもうと立ち込める白い煙の中、
電車は一両目が脱線して、草むらの中に見事に横転していた。
黒いトラックは、そこから五十メートルほど離れた線路上に、無残な姿でひっくり返っていた。
俺は横転したトラックの近くまで、フラフラとつまづきながら歩いて近づく。
油の匂いが鼻をついた。
前輪はまだカタカタと音をたてながら回っている。
車体のあちこちからは白い煙が立ち上っていた。
俺は横たわる黒い巨体の側を歩いて、運転席の傍らまで近づく。
そして、めちゃくちゃに割れたウインドウ越しに、そっと中を覗いてみた。
………
そこには、運転手の姿はなかった。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 22票























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。