強烈な吐き気がして、その場で全部吐いた。
俺がこの手で押したものは、パイプ椅子に座らされた渋沢だったんだ。
俺が……俺が殺したんだ。この手で。俺が助けた、あの男を。俺が、俺が……
胃液まで全て吐いて、ハッとして後ろを振り向く。
そこには夢で毎晩見る、一葉と福が立ってた。
一葉に似た女は、夢で見たとおり、顔や腕のそこらに痣が沢山あった。
夢で見るより、痩せこけて見えた。
俺と目が合って、女が口を開く
「あんたが殺したんだよ。あの男。私とこの子に、酷い虐待ばっかして、そのくせ浮気ばっかするクズ男。」
「だから川に突き落としたのに。あんたが、あんたが助けたりなんかするから、」
「警察に突き出さない代わりにって、毎日サンドバック代わりにされて……あんたが…あんたが…あんたのせいで……!!!」
俺は立ち尽くすことしか出来なかった。
女の声には、怒りと殺意が力強くこもっていた。
女の目には涙が浮かび、子供はただただ、生気のない目でこちらを見つめている。
あの夢は、この2人の強すぎる憎悪が見させたものなんだろうと、直感的にそう感じた。
女は涙を拭い、何かを決意したような目をした。
痣だらけの顔に滲んだ表情からは、今まであの男から受けてきた非情な仕打ちを思わせる凄みがあった。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「あんたが殺したんだよ。あの男も、”私も、この子”も。」
震える声でそう言うと、子供と手を繋いで歩き出す。向かう先は、柵のない屋上の縁だ。
止めたかった。でも、足がすくんで動けない。声も出せなかった。
俺はただ、”それ”を見届けることしか出来なかった。
子供を抱えて、背中から身を投げる女。
女の表情は、今でも忘れられない。
あの目。憎悪と、悲しみが詰まった、印象的な目だった。
そして、落ちていく瞬間、こう言った。
「殺してくれてありがとう。」って。
鈍く、重い音が響きわたった。
俺は、女が身を投げるのを止められなかった。
俺が殺したも同然だ。
























そんなこと考えるな!生きろ!
とてもリアルで、すごく怖いお話でした。
しぬなななななななななななななな
とてもスリルでした。