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呪い・祟り

真代さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

結末
長編 2025/07/01 10:55 31,053view
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目隠しを取ろうとしたら、後ろから声がした。

「動かない方がいいよ。指示する前に動いたら殺すから。」

それはそれは冷たい女の声だったね。
それから女はこう続けた。

「その場から動かずに、目の前のものを思いっきり押して。出来ないなら殺すよ。」

従うしかないよな。俺の命完全に握られてるわけだし。

その時の俺は、今まで感じたことの無い恐怖に負けて、産まれたての羊くらい震えてた。情けないよな。

なんで、どうして、俺がこんな目に合わなきゃ行かないんだ。
確かに俺は価値のない人間だったかもしれないけど、人に恨まれるようなことはしてない。

なんなんだこの状況は。

なんで、なんでって、ずっとずっと心の中で繰り返した。頭の中がぐるぐるして、思考が纏まらない。

涙がボロボロ零れ落ちて
心臓が信じられないくらいバクバクしていた。

「はやくして。」

そんな俺を全く気にもとめず、ひたすら冷たく、女は言い放った。

もう、考えてる時間はなかった。

押せってどういうことだよ。って、半ばヤケクソに目の前に何があるかも知らず、思いっきり手のひらを前に押し出した。

冷たい物に触れて、重かったけど、すぐに手応えが無くなった。

……その瞬間だった。

「……ありがと。」

冷たい女の声に安堵の音が混じっていた。

1秒くらい立って、ゴシンッ!!!ってすげえ鈍くて重い音が”下の方”から聞こえた。

嫌な予感がして、すぐに目隠しを外す。

そこは古い雑居ビルの屋上だった。

手すりが古くなっていて、ところどころ無くなっている。

俺は手すりが無い部分の縁のすぐそこに立っていた。

下の方をのぞき込むと、赤黒い液体と、へしゃげたパイプ椅子、四肢が変な方向に曲がった、中肉中背の男が落ちてた。

ふてぶてしい顔がこっちを見上げてる。
もう確実に死んでいるはずなのに、目が合った。

渋沢栄一に似てるって思ってた、俺があの日助けた男だ。

5/7
コメント(4)
  • そんなこと考えるな!生きろ!

    2025/07/01/18:48
  • とてもリアルで、すごく怖いお話でした。

    2025/07/03/21:26
  • しぬなななななななななななななな

    2025/07/07/13:27
  • とてもスリルでした。

    2025/07/10/07:45

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