Cは既に車にいたが、俺の様子を見て自分と同じものを見たんだと察したと思う。
Bも同じ、汗をかいて息を切らして、はたから見てもわかるくらい怯えてた俺らを見て異常だと感じとったらしい。
申し訳ないがAを置いて先に車で帰らせてもらった。最初の方に書いたが、多少歩くが町は近い。
電車で帰れるだろうと見越してこの決断をした。
気が気でない俺らじゃ危ないとBが運転してくれた。
「なにがあった?」
Bはそう言った。聞かれると思った。ただ言いたくない、厳密にいえばあそこで見えたものを信じたくなかった。幻覚であってほしかった。
Cも同じだった。
そりゃ言えないさ、Aの後ろにAがいたんだ。明らかに人とは思えないAがね。
そこであの時の違和感に気づいた。Aの声だけ反響してたんだ。
結局その日にBに話すことはなかった。
翌日、Aが来た。いつものAだ。俺は安心した。
置いてったことを謝罪し、車も傷ひとつ付けずに置いてあることを伝えた。
「だよなw車なくてビックリしたよw徒歩で帰る羽目になったんだからなw」
Aはそんなことを言っていた。悪寒が走った。
「電車で帰んなかったの?」そう聞いた。
「田舎育ちには乗り方わかんねw」そう返ってきた。
Aは東京生まれ東京育ち。
この時、たった一言が頭をよぎった
「おまえだれだ」
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