私の地元にはトメコさんと呼ばれている女性がいる。
本名は知らない。ただ、みんなからトメコさんと呼ばれていた。
私がトメコさんの存在を知ったのは小学生の時。友達数人と遊んでいると、
「あっ、トメコさんだ!」
と友人が指差した。その先には女性が1人立っていた。
こちらに気付き、ニコッと笑顔を見せ、手を振って、また歩き始めた。
「バイバーイ」
みんなで手を振り返した。
なぜ、トメコさんと言われているのか友人に尋ねると、歩いている途中で突然立ち止まることが多々あるらしく、だから周りから、止め子さんと呼ばれているらしい。
トメコさんの存在を知ってから、街中で見かけると確かに歩いている途中で突然立ち止まり、地面を見てから、また歩き出している光景を良く見かけるようになった。
声をかけると、愛想よく対応してくれるので特に変わった人ではない。いい人だ。と子供の頃は思っていた。
あるお盆の時期に、10年ぶりに遠い親戚が家を訪ねてきた。祖父母と再会を喜び、その後お昼を食べに行くことになったので私も一緒に行くことにした。
車で移動中、前方にトメコさんの姿があった。
「あっ、トメコさんだ!」と言うと、親戚の人が、「トメコさん?」
「うん、よく立ち止まるからトメコさん。」
と言っていると、ちょうどトメコさんはいつものように立ち止まった。
「ほら。ね?」と言うと、
「あの人…」
と親戚の人が真剣な顔でトメコさんを見ていた。
違和感を覚えた私はどうしたのか聞こうと思ったがお店に着いて昼食を食べるとすっかりそのことを忘れてしまっていた。
昼食後、自宅に戻り、夕方まで親戚の人はいたが他の親戚の家にも行くと言うので家を出ることになった。
玄関で見送ってる時に、ふとトメコさんを見た時の反応を思い出した。
玄関を閉め、出て行った親戚をすぐに追い、
「ねぇ!さっきトメコさん見た時、どうしたの?」と尋ねた。
「え?ああ…あの人。あの人はいつもあんな風に立ち止まってるの?」
「そうだよ。」
「そう…こんなこと言っていいのかわからないけど…」
「何?教えて!」
「誰にも言わないでね。あの人、視えてると思うの。」
「みえてる?」
「そう。霊ね。わかりやすく言うと幽霊。」
私は一瞬、理解できなかった。
「あの人が立ち止まってる所に霊がいるのよ。倒れていたり、うずくまっていたり、様々な姿が視えてるんだと思う。」
私は怖くなった。
今までずっと止まっていたのは霊がそこにいるからだと思うと背筋がゾッとした。
どうやら、その親戚の人は霊感が強いらしい。だから、トメコさんの行動もわかっていた。
私は誰にも言わないと約束し、親戚の方と別れた。























きゃあ変人!!!!(ビンタ)