高校時代から関係が続いてる友人の話。
ソイツは少し抜けているというかお人好しなところがあって、赤の他人でも疑ったりもせずに困ってるように見えたらなんでも声かけたり助けたりするような奴なんだ。
ある時、家の近くのコンビニで雨宿りしてる女に声をかけてビニール傘を貸したらしい。自分は家近いんでよかったら使ってください、みたいな感じで。
まあそんな理由からか、その女から付き纏いをされるようになったんだとか。
また違う日にコンビニ行ったらその女がいて、ジッとこっちを見てきたりとか、少し離れたショッピングモールとかでも後をつけてきたり明らか様子がおかしいことにさすがの友人も気づいたらしいんだ。
着ている服もいつも同じで紫のパーカーに黒のスウェット。声をかけてくるわけでもなくただ
ジッと見て薄笑い浮かべてなんともいえない気味の悪さに友人は次第に恐怖を覚えたらしい。
その何日か後に事件は起きた。
飲み会の帰りに、フラフラになりながら最寄駅から家に向かって線路沿いを歩いていた友人は、車道を挟んだ反対側の道路で誰かが両手をブンブン振ってる姿が目についたらしい。それはあのストーカー女で、気づいたら飛び跳ねて奇声を発していた。
酒も入っており気が大きくなっていた友人は、
「気持ち悪いんだよ!俺の視界に入ってくんなクソ女!とっとと死ね!バーカ!」って捲し立てた。
その瞬間、女の動きはピタって止まって
なんの感情もないような表情でジッと友人を見つめ始めた。
しばらくお互い静止状態が続いたが友人は、
舌打ちして逃げるようにその場を去った。
その瞬間、その女は全速力でこっちに向かって走ってきたらしい。車道もつっきって。
一気に酔いが覚める友人、事態のヤバさに気付きダッシュで逃げた。
だがバカだったのが、友人は家まで一直線に向かっちゃったんだ。家が割れたらもう終わったも同然なのに。
アパートの階段を駆け上がって急いで自分の部屋に入って鍵をかけ、息を殺す友人。片手には急いで手に取ったゴルフクラブを持ちながら。
数分だっただろうか。
追いかけてくる気配がなくなったのか…?
と、思った矢先、カンカンカン!とアパートの階段を駆け上がってくる音が聞こえた。
ヒィっ!と声を漏らし、急いで口を塞いで玄関先でガタガタ震えていると、隣の家のドアノブをガチャガチャいじるような音が聞こえる。
マズい、次はここだ。
友人は息を殺して身構えていた。
落ち着いて警察に電話をするなど手段はあったがあまりの緊迫感に思考が追いつかない。
ただ、ドアの向こうにいるであろうストーカー女への恐怖でいっぱいだった。
しかし、それ以降音がすることはなかった。
友人はそっと覗き穴を見るが、奥にも誰もいない。
意を決してそっとドアを開け周りを見たが、女の姿はなかった。
結局明け方まで玄関付近で身構えていたがその後は目立った物音もせず。























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